意匠法

1. 意匠法とは

魅力的なデザインは、市場での競争力を高める一方で、模倣の対象になり得ます。
意匠法では、新しく創作された意匠を創作者の財産と位置づけており、第1条で「意匠の保護及び利用を図ることによって、意匠の創作を奨励し、もって産業の発展に寄与することを目的とする」と定めています。
産業財産権四法のうちの一つであり、この他に特許法、実用新案法、商標法があります。

・意匠制度の基本情報は、以下リンクをご参照ください。
  意匠制度の基本情報>1.意匠とは?
  意匠制度の基本情報>3.意匠の一般的な登録要件

2. 意匠法の保護対象

意匠法第2条に規定されている「意匠」は、物品や建築物の形状、模様若しくは色彩若しくはこれらの結合、又は画像であって、視覚を通じて美感を起こさせるものを指しており、その全体だけでなく部分も意匠法の保護の対象に含まれます。

・意匠法の保護対象について、以下記事で詳細に解説していますので、ご参照ください。
  デザインの保護:こんなものも登録できる!
・意匠権の権利対象や権利範囲については、以下記事をご参照ください。
  意匠権とはどのような権利?

3. 意匠法の沿革

日本の意匠制度は、明治21(1888)年に公布された「意匠条例」がその始まりです。現行の意匠法は、昭和34(1959)年に公布され翌年(1960年)4月1日に施行されました。

主な法改正
平成10(1998)年 部分意匠制度の導入
関連意匠制度の創設(類似意匠制度から関連意匠制度への変更)
組物の意匠制度の拡充(登録要件の緩和)
平成18(2006)年 画像デザインの保護拡充(物品の操作に用いられる画像が保護対象に追加)
関連意匠制度の見直し(関連意匠の出願の時期的制限の緩和)
存続期間の延長(登録日から15年であったのを、20年に延長)
令和元(2019)年 保護対象の拡充(建築物・内装のデザインを保護対象に追加)
画像デザインの保護拡充(物品を離れた画像デザインを保護対象に追加)
関連意匠制度の拡充(関連意匠の出願の時期的制限の緩和)
存続期間の変更(登録日から20年であったのを、出願日から25年に変更)

・令和元年改正について、以下ページにて詳細内容を解説していますので、ご参照ください。
  意匠法大幅改正~これからのデザイン経営に向けて~

4. 条約や協定

法令の形式的効力は、「憲法(日本国憲法)」>「条約(例:パリ条約、ハーグ協定)」>「法律(例:意匠法)」>「政令・省令(意匠法施行令、意匠法施行規則)」となっています。
そのため「意匠法」が、「パリ条約」や「ハーグ協定」で規定されている内容に反することはありません。
例えば、条約(協定)に加入するにあたり、「意匠法」に規定されていない内容がある場合には追加する法改正がなされた上で、加入することになります。

パリ条約

パリ条約は正式名称を「工業所有権の保護に関するパリ条約(Paris Convention for the Protection of Industrial Property)」といい、1884年に発効した国際条約で、日本は明治32(1899)年に加盟しています。
その中でも「内国民待遇の原則」「優先権制度」および「各国工業所有権独立の原則」が3大原則といわれています。
例えば、加盟国に出願する際、日本で意匠出願してから6ヵ月以内であれば、この優先権を主張することにより、日本における出願日を基準に他の同盟国で審査が受けられます。

ハーグ協定のジュネーブ改正協定

ハーグ協定は「意匠の国際寄託に関するハーグ協定(Hague Agreement Concerning the International Deposit of Industrial Designs)」として、1925年にハーグで採択され、1928年に発効された国際条約です。
その後、1934年にロンドンで、1960年にハーグで、1999年にジュネーブで改正協定が採択されました。
日本は平成27(2015)年に「意匠の国際登録に関するハーグ協定のジュネーブ改正協定(Geneve Act of the Hague Agreement Concerning the International Registration of Industrial Designs)について、加盟の効力が発効しています。

各国別に発生する出願手続きを一元化し、国際事務局に対して一つの出願手続をすることにより、指定した国それぞれに出願した場合と同等の効果を得ることができる意匠の国際出願登録制度です。
詳細は以下リンクにて解説していますのでご参照ください。
  ハーグ協定による国際意匠出願について

5. 関連法令(政令・省令)

意匠法の条文の中に「政令で定める」「省令で定める」と記載されている箇所があります。
これは法律を現場に即した柔軟なルールにしてより実効性を確保するため、詳細な規定が行政に委ねられています。

政令は内閣によって制定され、省令は各省大臣によって制定されます。
意匠法に関連する政令省令は以下の4つです。

  • 意匠法施行令(政令)
  • 意匠法施行規則(経済産業省令)
  • 意匠法登録令(政令)
  • 意匠法登録令規則(経済産業省令)

6. その他意匠に関連する法律

意匠法では、工業上利用することができる物品や建築物、画像等のデザインはその保護対象になりますが、他の知的財産権関連の法律(不正競争防止法や著作権法等)によってもデザインが保護される場合があります。
意匠法以外にもデザインを保護する手段があることを以下の記事で詳細に解説していますので、ご参照ください。
  デザイン保護に関する主要な法律

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