キャラクターデザインの意匠権による保護について

(1) キャラクターデザインを権利化する方法:商標・意匠・著作物としての保護

キャラクターデザインと一言でいっても、世の中にはいろんな種類のキャラクターデザインがありますね。例えば、キャラクターの絵柄自体や、キャラクターの絵柄がついたキーホルダー、マグカップ、ティーシャツ等のキャラクターグッズ。立体的なものでは、キャラクターのフィギュアや、ゆるキャラの着ぐるみなどなど。

魅力的で知名度の高いキャラクターには顧客吸引力があり、このようなキャラクターがプリントされた商品は、消費者の購買意欲を刺激するため、キャラクターデザインは模倣されやすく無断で使用されるケースが後を絶ちません。

では、キャラクターの無断使用を防ぐために、どのような対処方法があるでしょうか。対処方法としては、著作権・商標権・意匠権によるキャラクターの保護が考えられます。これらの権利を取得すると、無断使用する者に対して、差止請求や損害賠償請求をすることができます。

では、これらの権利のうち、どの権利を取得すればよいでしょうか。実は、キャラクターデザインをどのような用途で用いるかによって、それぞれ取得すべき権利の種類が異なります。以下に、権利の内容を詳しくまとめて紹介します。

(2) キャラクターの絵柄・立体形状自体:創作したキャラクターの著作物を保護したい場合

キャラクターの著作物については、著作権による保護を検討します

著作権ではキャラクター自体を保護することはできませんが、イラスト、アニメ、漫画、絵本、彫像等にキャラクターが描かれた場合、その具体的な絵柄・立体形状について、著作物として保護される可能性があります。著作権の取得に特許庁への手続きは不要です。著作権は創作した時に自動的に発生し、その上、著作者の死後70年まで存続します。

しかしながら、例えば、ノートの表紙にキャラクターがプリントされたキャラクターグッズである場合、キャラクターグッズ等が著作物と認められる可能性は低く、キャラクターグッズ等について、著作権の保護を受けるのは困難です。

また、似たようなキャラクターを他人が創作しても、独自に創作したものであれば著作権侵害が認められないこともありますので、著作権だけで保護するのは不十分な場合があります。

(3) キャラクターのロゴマーク等を付した商品:商標権による保護

キャラクターを商品等に付すことによって、特定の会社の商品等であることを表示したい場合、商標権による保護が考えられます。

キャラクターの絵柄をロゴマークの商標として、またキャラクターの名前を文字商標として、それぞれ商標権で保護を受けることができます。ロゴマークの場合、そのキャラクターの持つ様々な表情やポーズの中から、一つの表情やポーズを決めて、ロゴマークのデザインとします。

キャラクターの絵柄がロゴマークとして商標登録された事例。キャラクターの名前が商標登録された事例(ピカチュウ)

キャラクターの商標登録を受けようとする場合、その商標を使用する商品・サービスを指定する必要があります。商標権の効力は、他人が登録商標と同一または類似の商標を、指定商品と同一または類似の商品・サービスに使用するときに及びます。

例えば、ティーシャツを指定商品とした場合、商標と同じ絵柄をプリントしたマグカップには商標権の効力は及ばないため、当該マグカップの製造や販売を差し止めることはできません。しかし、ティーシャツと類似する商品、例えば、タンクトップであれば、商標権に基づいて、差止・損害倍意匠請求が可能です。

商標登録には、新規性の要件は不要ですので、現在使用して公知になっている商標でも出願することができます。また、商標権は、更新を繰り返すことにより、半永久的に存続することができます。ただし、登録したキャラクターの商標を長期間使用していない場合、商標権が取り消される場合があります。

フィギュア等の立体的なキャラクターについても商標登録することができます。例えば、KFCのカーネルサンダース人形や、不二家のペコちゃん人形が商標登録されていることはよく知られています。商標登録を受けることができれば、キャラクターの立体形状について、半永久的で強力な権利を取得することができます。

なお、識別力のある文字を含まない立体形状のみの商標の場合、商標登録を受けるには、その立体形状に識別力があると認められる必要があります。商品や商品の包装の形状等の範囲を出ない立体形状は識別力がないと判断され、商標登録を受けることができません。

(4) キャラクターグッズ:意匠権による保護

キャラクターグッズを独占的に製造販売したい場合、意匠権による保護が考えられます。

キャラクターグッズ等のように、キャラクターを使用する具体的な商品の形状が決まっている場合、意匠権での保護が有効です。

キャラクター自体について、またはキャラクターの絵柄自体について、意匠権で保護することはできませんが、キャラクターを使用する物品(商品)と結び付けて意匠出願をすることができます。

キャラクターの絵柄をカチューシャに施して物品カチューシャとして意匠登録された事例(ドラえもん)

意匠出願をする場合、キャラクターの持つ様々な表情やポーズから一つの表情やポーズを決め、キャラクターを使用する物品を指定して意匠出願します。このように、意匠権によって物品ごとにキャラクターデザインを保護することができます。

なお、同じキャラクターであっても、ポーズ等が相違すれば、意匠権が及ばない場合があります。また、同じキャラクターデザインであっても、物品が異なれば、意匠権が及ばない可能性があります。

キャラクターのフィギュアは、意匠に係る物品を「人形おもちゃ」として意匠登録を受けることができ、ゆるキャラの着ぐるみは「仮装用ぬいぐるみ衣装」として意匠登録を受けることができます。また、キャラクターの立体形状をした消しゴムは「消しゴム」として、意匠登録を受けることができます。キャラクターの絵柄がプリントされたティーシャツやノートは、それぞれ「ティーシャツ」、「ノート」として、意匠登録を受けることができます。

キャラクターのフィギュアが人形おもちゃとして意匠登録された事例(ウルトラマン)。ゆるキャラの着ぐるみが仮装用ぬいぐるみ衣装として意匠登録された事例(大阪国際空港)。ゆるキャラの着ぐるみが仮装用ぬいぐるみ衣装として意匠登録された事例(習志野市)

意匠登録されるには、世の中に知られていないデザイン(新規性)である必要があります。そのため、商品を製造販売する前に意匠出願する必要があります。意匠権は出願日から25年間存続します。

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