意匠の分類とは

意匠出願できるのは、物品の意匠(デザイン)です。
この「物品」には、食べ物から建築物、服や機械等々、あらゆるものが該当します。

どんな登録意匠があるのかを物品ごとに検索できるように、物品は体系化され、英数字が付与されています。
これを意匠分類と言います。日本には、日本意匠分類という独自の分類体系があります。

意匠出願が初めての⽅に、日本意匠分類とは何か、どのように検索するのか、分かりやすくご案内します。

日本意匠分類

日本意匠分類は、物品の用途に主眼をおき、必要に応じて機能等の概念を用いて構成されています。
全ての物品について、1件につき1分類が付与されます。

グループ、大分類、小分類から構成され、小分類より下位に意匠ファセットターム(Dターム)記号が付けられます。

出願日や公知日が2005年以降の文献には現行の日本意匠分類が、
2004年以前の文献には旧日本意匠分類が付与されています。
そのため、2004年以前と2005年以降に跨る期間で意匠を検索したい時には、新旧の分類を使い分けて検索する必要があります。

画像意匠分類

画像を含む意匠に付与される分類です。
日本意匠分類の小分類の末尾に分類記号「W」が付与されます。

Dターム

日本意匠分類を形状や模様等の観点から細分化したもので、グループ、大分類、小分類、Dターム記号から構成されています。
Dタームは分類によって展開があるものとないものがあり、文献の内容に応じて付与されます。

Dターム記号は意匠分類の一部を構成するものではありませんが、意匠分類と一体で使用されます。

日本意匠分類の一覧

それぞれの区分について、具体的にどのような商品・サービスが含まれるか、詳細は特許庁のホームページをご確認ください。
日本意匠分類関連情報

参考までにこちらでも紹介しますと、2022年7月現在、各区分の概要は以下の通りです。

グループ
Aグループ(製造食品及び嗜好品) A0 A1に属さないその他の製造食品及び嗜好品
A1 製造食品及び嗜好品
Bグループ(衣服及び身の回り品) B0 B1~B9に属さないその他の衣服及び身の回り品
B1 衣服
B2 服飾品
B3 身の回り品
B4 かばん又は携帯用袋物等
B5 履物
B6 喫煙用具及び点火器
B7 化粧用具又は理容用具
B9 衣服及び身の回り品汎用部品呼び付属品
Cグループ(生活用品) C0 C1~C7に属さないその他の生活用品
C1 寝具、床敷物、カーテン等
C2 室内装飾品
C3 清掃用具、洗濯用具等
C4 家庭用保健衛生用品
C5 飲食用容器又は調理用容器
C6 飲食用具及び調理用器具
C7 慶弔用品
Dグループ(住宅設備用品) D0 D3~D9に属さないその他の住宅設備用品
D3 発光具及び照明器具
D4 暖冷房機又は空調換気機器
D5 厨房設備用品及び衛生設備用品
D6 室内整理用家具・用具
D7 家具
D9 住宅設備用品汎用部品及び付属品
Eグループ(趣味娯楽用品及び運動競技用品) E0 E1~E4に属さないその他の趣味娯楽用品及び運動競技用品
E1 おもちゃ
E2 遊戯娯楽用品
E3 運動競技用品
E4 楽器
Fグループ(事務用品及び販売用品) F0 F1~F5に属さないその他の事務用品及び販売用品
F1 教習具、書画用品等
F2 筆記具、事務用具等
F3 事務用紙製品、印刷物等
F4 包装紙、包装用容器等
F5 広告用具、表示具及び商品陳列用具
Gグループ(運輸又は運搬機械) G0 G1~G4に属さないその他の運輸又は運搬機械
G1 運搬、昇降又は貨物取扱い用機械器具
G2 車両
G3 船舶
G4 航空機
Hグループ(電気電子機械器具及び通信機械器具) H0 H1~7に属さないその他の電気・電子機械器具及び通信機械器具
H1 基本的電気素子
H2 回転電気機械、配電機械器具
H6 電子情報処理、記憶機械器具
H7 電子情報入出力機器
Jグループ(一般機械器具) J0 J1~J7に属さないその他の一般機械器具
J1 計量器、測定機械器具及び測量機械器具
J2 時計
J3 光学機械器具
J4 事務用機械器具
J5 自動販売機及び自動サービス機
J6 保安機械器具等
J7 医療用機械器具
Kグループ(産業機械器具) K0 K1~K9に属さないその他の産業用機械器具
K1 利器及び工具
K2 漁業用機械器具
K3 農業用機械器具、鉱山機械、建設機械等
K4 食料加工機械等
K5 繊維機械及びミシン
K6 化学機械器具
K7 金属加工機械、木材加工機械等
K8 動力機械器具、ポンプ、圧縮機、送風機等
K9 産業用機械器具汎用部品及び付属品
Lグループ(建築物及び土木建築用品) L0 L1~L7に属さないその他の建築物及び土木建築用品
L1 仮設工事用品
L2 土木構造物及び土木用品
L3 建物、屋外装備品等
L4 建築用構成品
L6 建築用内外装材
L7 建物用構造材、枠材等
Mグループ(AからLに属さないその他の基礎製品) M0 M1~M3に属さないその他の基礎製品
M1 織物地、板、ひも等
M2 配線、配管用管、管継ぎ手、バルブ等
M3 ねじ、くぎ、開閉金物、係止具等
Nグループ(他グループに属さない物品) N0 A0~M3に属さないその他の物品等
N3 グラフィカルユーザーインターフェース
W(画像意匠分類) W 画像

例えば、電気掃除機の日本意匠分類は、「C3-4100」です。
Cグループ(生活用品)のなかの、C3(清掃用具、洗濯用具等)で、
グループが「C」、大分類が「3」、小分類が「4100」です。Dタームはありません。

スマートフォンにダウンロードするようなアプリのアイコンは「N3-12W」です。
Nグループ(他グループに属さない物品)の中のN3(グラフィカルユーザーインターフェース)で、
グループが「N」、大分類が「3」、小分類が「12」です。末尾に画像意匠であることを示すDタームの「W」が付いています。

では、円柱型の包装用の容器で、パカッと取り外せる蓋がついており、花柄の模様が付されているものはどうでしょうか。
Fグループ(事務用品及び販売用品)の中のF4(包装紙、包装用容器等)が該当しそうです。小分類712が円柱型の包装用容器ですので、日本意匠分類は「F4-712」になります。
ここから、包装用容器に花の模様が付いているので、末尾にDターム「AA」が、分離式の蓋が付いているので、末尾にDターム「BBB」がつきます。
つまり、Dタームまで付けると、「F4-712AA」、「F4-712BBB」が該当します。

国際意匠分類

世界知的所有権機関(WIPO)の国際事務局が管理・運営を行う、ロカルノ協定に基づき定められたものです。
日本意匠分類と同様に意匠1件につき1分類が付与されますが、日本意匠分類と比較して分類肢の数が少なく、粗いことが特徴です。

国際意匠分類の一覧

国際意匠分類は、以下のように、クラスとサブクラスの2つがあるだけです。
なお、ここでは、第3類以下のサブクラスの内容は省略させていただきました。

クラスサブ
クラス
第1類(食料品)1ベーカリー製品,ビスケット,ペーストリー,パスタ及びその他の穀物加工品,チョコレート,菓子,氷菓
2果物,野菜及びそれらの加工品
3チーズ,バター及びバター代用品,その他の乳製品
4肉(豚肉製品を含む),魚
5豆腐及び豆腐製品
6飼料
99その他
第2類(衣料品及び裁縫用小物)1下着,婦人用下着,コルセット,ブラジャー,寝巻
2衣類
3帽子
4履物,靴下及びストッキング
5ネクタイ,スカーフ,ネッカチーフ及びハンカチ
6手袋
7裁縫用小物及び衣類付属品
99その他
第3類(旅行用具,ケース,日傘及び他に該当しない身の回り品)
第4類(ブラシ製品)
第5類(紡績用繊維,人工及び天然のシート材料)
第6類(室内用品)
第7類(家庭用品,他で明記されていないもの)
第8類(工具及び金物類)
第9類(物品の輸送又は荷扱いのための包装用容器及び容器)
第10類(時計,携帯型時計及びその他の計測器,検査器具及び信号器具)
第11類(装飾用品)
第12類(輸送又は昇降の手段)
第13類(電気の生産,供給又は変流のための機器)
第14類(記録,電気通信又はデータ処理用の機器)
第15類(機械,他で明記されていないもの)
第16類(写真撮影用,映画撮影用及び光学用機器)
第17類(楽器)
第18類(印刷機及び事務用機械)
第19類(文房具及び事務機器,美術材料及び教材)
第20類(販売及び広告機器,サイン)
第21類(遊戯用具,玩具,テント及び運動用品)
第22類(武器,火工品,狩猟,釣り及び害虫駆除のための物品)
第23類(流体供給機器,衛生用,暖房用,換気用及び空調用の機器,固体燃料)
第24類(医療用及び実験用器具)
第25類(建築用ユニット及び建築部材)
第26類(照明用機器)
第27類(たばこ及び喫煙用の供給品)
第28類(医薬品及び化粧品,洗面室用品及び設備)
第29類(防火用,事故防止用及び救助用器具及び設備)
第30類(動物の世話及び飼育用の物品)
第31類(飲食物を調理するための機械及び器具,他で明記されていないもの)
第32類(グラフィックシンボル及びロゴ,表面模様,装飾)

【出典】特許庁サイト掲載の「国際意匠分類和訳」及び、「ロカルノ(13版) ─ (現行)日本意匠分類 対照表」

例えば、電気掃除機の国際意匠分類は、「15-05」です。
クラスが「15」、サブクラスが「5」となります。

スマートフォンにダウンロードするようなアプリのアイコンは「14-04」です。
円柱型の包装用の容器で、パカッと取り外せる蓋がついており、花柄の模様が付されているものは、「09-01」「09-02」「09-03」「09-04」あたりの国際意匠分類が複数付されることになるでしょう。

このように、国際意匠分類は2つの数字が並ぶだけとなっております。

自分の意匠の物品の意匠分類を知る方法

J-PlatPatを使う方法と、意匠分類定義カードを確認する方法があります。
J-PlatPatとは、独立行政法人工業所有権情報・研修館(INPIT)が提供するデータベースです。
意匠分類定義カードとは、特許庁のサイトに掲載されている、日本意匠分類の細かい定義内容を記載した資料のことです。

J-PlatPatの意匠分類照会

1つ目の方法として、J-PlatPatの意匠分類照会のページを使用することができます。

例えば、「財布」がどの区分に該当するのか知りたい時には、以下のように検索してください。

  • キーワードに「財布」の文字を入力。
  • 検索ボタンを押す。

すると、「財布」の単語が含まれる日本意匠分類がずらっと表示されます。
日本意匠分類は検索結果表の左から2列目に書かれています。この分類に含まれる物品の名称がその右列にあります。
Dタームは右から2列目にあります。その右にDタームの内容も説明されています。

これで、「財布」の日本意匠分類は「B4-4」であることが分かります。
もし、折り畳み財布だったのなら、「B4-4B」のDタームも付きます。

J-PlatPatの意匠検索

2つ目の方法として、J-PlatPatの意匠検索のページを使用することができます。

  • 国内公報にチェックを入れる。
  • 意匠に係る物品/物品名/原語物品名の欄に「財布」を入力。
  • 検索ボタンを押す。
  • もし、検索結果が多いようでしたら、公報発行日・出願日・登録日などで絞ってみてください。

これで、物品名に「財布」が含まれる意匠が表示されます。ここに表示されている「B4-4」が日本意匠分類です。
この「B4-4」はクリックできるようになっており、クリックすることでこの日本意匠分類の詳細を確認することが可能です。

意匠分類定義カード

3つ目の方法として、特許庁のホームページに掲載されている意匠分類定義カードを使用することが可能です。
(1)日本意匠分類の「表2 日本意匠分類 分類定義カード一覧」を確認下さい。

  • 「財布」が含まれていそうなグループを探す。
  • この場合、Bグループ(衣服及び身の回り品)に目星をつけて、Bグループの意匠分類定義カードを確認する。(「B(PDF:〇KB)」と書かれているPDFのことです。)
  • 「財布」は「携帯用袋物(B4)」だろうな、と目星をつける。
  • B4の意匠分類定義カードを確認する。B4-4に財布がある。続けて、具象型、折り畳み型といった財布形状によるDタームも記載があるので確認する。

これにより、J-PlatPatの検索よりは時間がかかりますが、目当ての物品の意匠分類を知ることができます。

意匠分類で迷った時は

意匠分類は、調査の際に重要になります。
類似物品に、先行類似意匠があるのかどうか調べる時に、先行意匠を意匠分類で絞ります。
そのため、正しい意匠分類を把握することは、出願戦略を立てる際にに欠かせません。

当所では、調査対象とする意匠分類を決め、登録の妨げとなる意匠が存在しないかを詳細に検討し、報告させていただいております。
さらに実際の調査の後は素早く出願し、出願~登録までの対応、登録になった後の管理まで、一貫してお客様の意匠の権利化に寄り添います。
意匠調査・意匠出願についてご不明点がございましたら、是非お気軽にお問合せフォームよりご連絡ください。

意匠の疑問・お悩みはHARAKENZOに相談ください!

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意匠登録や意匠トラブルの解決にあたっては、専門家の判断が欠かせません。
意匠のことでお悩みがありましたら、いつでも知的財産のプロフェッショナル集団であるHARAKENZO事務所にご相談いただけます。