(1) 商標は色彩だけで出願できるようになったけど、意匠もできるの?

2015年に商標法が改正され、商標においては「⾊彩のみからなる商標」も保護されるようになりました。⾊彩のみからなる商標とは、単⾊⼜は複数の⾊彩の組合せのみからなる輪郭のない商標のことです。
単⾊の商標としては、ティファニーの「ティファニーブルー」が有名ですね。ティファニーは「ティファニーブルー」の色彩により効果的なブランドの構築を図っています。この他にも、複数の⾊彩の組合せからなる商標として、トンボ鉛筆の「青色・白色・黒色の組み合わせ」の商標などがあります。
このような商標は形状が限定されないため、商標権の権利範囲を広くすることができます。

それでは、商標と同様に意匠についても「色彩のみからなる意匠」は、意匠権を取得することができるでしょうか。残念ながら「色彩のみからなる意匠」は意匠法の保護対象ではないため、意匠権を取得することができません。

(2) 意匠法の保護対象

意匠法で保護される意匠法上の意匠は、「物品若しくは建築物の形状等、又は画像についての創作」である必要があります。
「物品」とは、有体物のうち市場で流通する動産のことです。
「形状等」とは、形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合のことです。
意匠法では物品と形状等とは一体不可分と規定されていることから、物品を離れた形状等のみの創作、例えば、模様又は色彩のみの創作は、物品の意匠として認められません。

(3) 色違いの意匠:類否判断

(3-1) 画像意匠以外:類似意匠

物品の形状や模様はデザイナーが創作した部分ですが、色彩はそれが模様を構成しない限り、創作部分というよりは、数多く存在する色彩のうちから一つの色彩を選択した選択部分に該当します。通常の製品には、色違いの多数のバリエーションが用意されていることからも、色彩は、形状及び模様よりも、見る人の注意を引きにくい部分と考えられます。したがって一般的に、色彩は、形状及び模様よりも類否判断に与える影響が小さいと考えられています。 そのため特段の事情がない限り、色違いの意匠は類似意匠と判断されます。

(3-2) 画像意匠:非類似の場合もありえます

アイコン用画像などは、分かり易さを重視しており、複雑な図形になり難い性質があるため、形状以外の構成要素、例えば色彩の違いにより、非類似の判断がなされる(類似範囲が狭く解釈される)ケースがあると推測されます。したがって、形状が単純な画像意匠の場合、色の有無によって非類似と判断され得るため、まずは実際に使用する画像での権利化が望ましいといえます。

意匠 色 google

(4) 権利範囲

それでは、同じ物品・形状の意匠の場合、モノクロとカラーとでは、どちらが権利範囲が広いでしょうか。
カラーの意匠は、色を限定した意匠であり、例えば、青で彩色されている意匠は、色を青に限定したものです。上述したように、色違いの意匠は、原則、類似範囲に含まれますが、他の色で彩色された結果、あまりにも美感を異にする場合には、非類似とされる可能性を否定できません。
一方、モノクロの意匠は、色を限定しない意匠ですので、例えば、白であっても、青・赤・黄であっても、構わないデザインです。
したがって、一般的にモノクロのほうが権利範囲が広いと考えられ、意匠出願も特段の事情がない限り、モノクロの図面で出願します。

(5) 意匠の色についての考察:その他諸々

(5-1) 色の改変と創作非容易性(意匠法第3条2項)

先行意匠の色を変えたり、色の配列の順番を変えて制作した意匠は、元の意匠に対して「軽微な改変」をほどこしたに過ぎないものです。このため、創作非容易性(意匠法第3条2項)の要件を満たさず、意匠登録を受けることができません。

(5-2) 先願意匠の一部と色(意匠法第3条の2)

意匠の一部とは、先願に係る意匠として開示された意匠の外観の中に含まれた一つの閉じられた領域をいいます。したがって、審査官は意匠の構成要素である形状、模様、色彩の一を観念的に分離したものについては、意匠の一部に該当するものとは取り扱いません。例えば、先願に係る意匠として開示された意匠が、物品等の形状と模様の結合からなる意匠である場合には、その結合した状態の意匠全体における一部を指し、模様や色を除いた形状のみは意匠の一部に該当するものとは取り扱いません。

(5-3) 組物と色による統一

複数の意匠について色彩による統一がある場合、形状や模様と結びついた一定の色彩によって全体の統一があるとして、組物の意匠登録ができる場合があります。

(5-4) 優先権と色

日本に出願された意匠が、優先権主張において第一国出願の意匠と同一と認められるためには、両意匠の意匠に係る物品等の形状、模様又は色彩がいずれも同一でなければなりません。意匠の色彩が異なれば別異の意匠であり、原則として、優先権主張の効果は認められません。
ただし、例えば、第一国出願の図面においては色彩が付されているが、説明で色彩については権利を請求しない旨記載されている場合などは、優先権の認否において同一と判断されます。

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