(外務省HP – 地域別インデックスより)

1.保護対象と存続期間

(1)保護法

意匠は、意匠特許権として特許法(中国語:専利法)によって保護されています。

(2)保護対象

保護対象は、ほぼ日本と同じです。2014年5月から画像意匠も登録できるようになり、2021年6月から部分意匠も登録できるようになりました。

平面印刷物の図案、色彩または両者の組合せによって作成され、主に標識の作用を持つ意匠は保護されません。

  • ≪専利法≫第2条第4項(改正法)
    意匠とは、製品の全体又は一部の形状、図案又はその結合及び色彩と形状、図案の結合に対して行われ、優れた外観を備え、かつ工業への応用に適した新たな設計を指す。

◇GUIに係る製品意匠について
 2019年11月1日に改正が施行された「専利審査指南」により、GUIを含む意匠の名称に「ディスプレイスクリーンパネル」という名称を用いることができる点が明確になりました。その場合、意匠の図面には、少なくともGUIディスプレイスクリーンパネルを含む正投影図を1枚提出する必要があります。
 また、この場合、「簡単な説明」において、ディスプレイスクリーンパネルが応用される製品を網羅的に列挙しなければなりません。(「携帯端末等」という記載は認められません。)よって、以下のような記載が必要とされます。

物品名称:〇〇操作GUIを備えるディスプレイスクリーンパネル
簡単な説明:当該ディスプレイスクリーンパネルは、携帯電話、コンピュータに適用される

(3)存続期間

出願日から15年間保護されます。

※2021年5月31日までの出願の存続期間は出願日から10年間です。

(4)出願件数

出願件数は非常に多いのが特徴です。

中国国家知識産権局が発表した統計データによると、2021年の意匠出願件数は80.5万件、2020年の意匠出願件数は77万件、2019年の出願件数は71.2万件にのぼり、増加傾向にあります。

2.無審査主義

方式審査のみで実体審査はありませんが、審査官は意匠出願が明かに新規性の規定に合致していないかについて審査を行います。

提出図面のチェックは厳しく、図面の不一致による補正命令がよく出されます。

3.新規性喪失の例外

出願日前6ヶ月以内であれば認められますが、適用条件は非常に厳しく、日本とは異なり展示会出品や雑誌での公表は含まれません。したがって新規性を喪失する前に日本で意匠出願し、優先権主張を伴って中国出願をする必要があります。

*適用条件
①国家において緊急事態又は非常事態が発生し、公共の利益のために初めて公開したもの
②中国政府が主催または承認した国際博覧会に初めて展覧されたもの
③規定の学術会議または技術会議で初めて発表されたもの
④意に反する公知

4. 類似意匠制度

原則一意匠一出願ですが、同一製品の類似する意匠を10意匠まで一出願に含めることができます。同時に出願する場合に限られ、出願後に類似意匠を追加することはできません。

中国は無審査主義ですが、明らかに非類似の意匠が一出願に含められたときは、分割が要求されます。しかし、類似意匠として登録した後に非類似と認定されても無効理由にはなりません。

5. 部分意匠

従来中国では部分意匠制度がありませんでしたが、2021年6月1日より実施される専利法の第4回法改正により、部分意匠制度を導入しました。

6. 分割出願

自発的に、若しくは国家知識産権局の要求に基づいて分割出願することができます。

(1)出願日: 原出願と同一の出願日となります。
(2)出願人: 分割出願提出時の原出願の出願人と同一でなければならない。
(3)創作者: 原出願の創作者と同一又はその一部であることが必要です。
(4)費 用: 新規出願費用と同じです。

7. 意匠出願の流れ

8. 必要書類

① 願書
② 図面若しくは写真
③ 簡単な説明
④ 委任状
⑤ 優先権証明書類(優先権を主張する場合)

(1)簡単な説明

「簡単な説明」に、創作の特徴及び用途等を簡潔に記載する必要があります。「簡単な説明」には、商業的な宣伝用語を含めることはできず、物品の性能や内部構造を説明することはできません。物品の性能等、「簡単な説明」に記載すべきでない内容を記載した場合、それらの記載を削除するよう通知書が発行されます。

1)記載事項
①意匠物品の名称
願書の物品名称と一致させる必要があります。

②意匠物品の用途
複数の用途を有する物品の場合は、対象物品の複数の用途を記載します。

②意匠物品の用途
複数の用途を有する物品の場合は、対象物品の複数の用途を記載します。

③意匠の創作要点
記載例「本物品正面に現れる全体形状が特徴である」

④創作要点を最も良く現している図面または写真
創作の要点が最もよく現れている代表図を記載します。(通常は斜視図)

⑤その他
図面を省略する場合や色彩の保護を求める場合の説明
複数の類似意匠出願の場合、基本意匠を指定する。

2)留意事項

意匠権の保護範囲は、図面または写真に表示される物品の意匠を基準とし、「簡単な説明」は、図面または写真に表示される物品の意匠を解釈するのに用いることができるとされており、権利範囲に影響します。実務的には権利範囲を広くするために簡潔に記載すればよいと考えられます。

(2)図面若しくは写真

投象図法による6面図のみを提出した場合、斜視図の提出を求められることがありますので、斜視図を出願時に提出しておくとよいでしょう。日本と比べて各図面間の一致は厳しく求められ、斜視図も例外ではないので正確に作成する必要があります。

写真やCGも提出することができます。

9. 評価報告書

意匠は無審査で登録されるため、意匠権者又は利害関係者は権利の有効性を確認するために意匠権の評価報告書(専利評価報告)の作成を中国特許庁に請求することができます。

従来は、意匠権者又は実施権者等の権利者側からしか請求できませんでしたが、2021年6月1日に施行された改正専利法により、被疑侵害者による請求も可能となりました。

10. 拒絶査定不服審判

(1)請求人

請求人のみが拒絶査定不服審判を請求することができます。

(2)審判請求期間

拒絶査定を受領した日から3ヶ月以内に請求すべきです。

(3)必要書類

①不服審判請求書
②関係する証拠(必要時)
③補正された意匠出願書類(一式二部)(※)
※請求人は審判を請求する又は専利複審委員会よりの審判通知書に回答する際に、意匠出願書類を補正することができます。但し、補正は拒絶査定又は審判通知書に指摘された欠陥の除去に限られます。

(4)審判の取り下げ

専利複審委員会が決定を下すまでに、審判請求人は不服審判請求を取り下げることができます。

その場合、審判手続は終了します。

(5)審決に不服の場合

出願人は、専利複審委員会の決定に不服の場合、審決を受領した日から3ヶ月以内に専利複審委員会を被告として北京知識産権法院に訴訟を提起することができます。

11. 無効審判

(1)請求人

何人も無効審判を請求することができます。

在外者は、国家知識産権局が指定した渉外代理機関に委任しなければなりません。

(2)必要書類

①無効審判請求書(一式二部)

②必要な証拠(一式二部)

(3)主な無効理由

①意匠に該当しないもの。(≪専利法≫第2条)

②最先の出願人でない又は権利の重複付与に属し、新規性を備えていない又は他人が先に取得した合法的権利と抵触する。(≪専利法≫第23条)

③補正が元の図面若しくは写真の範囲を超えている。(≪専利法≫第33条)

④国の法律、社会道徳に違反し、又は公共の利益を害する。(≪専利法≫第5条)

⑤意匠権を付与しない範囲に属する。(≪専利法≫第25条)

(4)審判の取り下げ

専利複審委員会が決定を下すまでに、審判請求人は不服審判請求を取り下げることができます。

専利複審委員会が決定を下す前に、無効審判請求人がその請求を取り下げ、或いはその無効審判請求が取り下げられたと見なされる場合は、無効宣告請求審査手続きは終了します。ただし、専利複審委員会は既に行った審査で意匠権の無効又は一部無効を宣告する決定を下すことができると考える場合は、審査手続は終了されません。

(5)審決に不服の場合

当事者は、専利複審委員会の決定に不服の場合、審決を受領した日から3ヶ月以内に専利複審委員会を被告として北京知識産権法院に訴訟を提起することができます。北京知識産権法院は無効審判の相手方の当事者に、第三者として訴訟に参加するよう通知します。

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