主な出願国と外国意匠制度(欧州)

1.保護対象と存続期間

(1)意匠の定義

主な出願国と外国意匠制度(欧州)

意匠は「製品の全部または部分の外観…」と定義され、部分意匠も保護の対象となっています。アイコン、タイプフェイスや、ロゴ、グラフィックキャラクター、ビルディング、店舗デザインなど保護対象は多岐にわたります。

日本で意匠の保護対象とならないものでも、欧州では意匠として広く保護される可能性がありますので、保護対象を慎重に検討する必要があります。例えば、日本ではロゴは商標登録の対象ですが、欧州では物品(指定商品)に関係なく意匠として登録できるので、新規性、独自性の要件を満たす場合、意匠として出願する可能性も検討できます。

(2)保護範囲

一の出願、一の権利で、EU28か国全体において保護されます。

(3)非登録共同体意匠と登録共同体意匠

欧州の意匠制度には、無登録で保護される非登録共同体意匠(UCD)と、登録を保護の要件とする登録共同体意匠(RCD)があります。

①非登録共同体意匠(Unregistered Community Design)

EU域内での公表により公衆に利用可能となったことを権利発生の要件として、無登録で意匠を保護します。日本の不正競争防止法2条1項3号に似た規定です。保護期間は、EU域内で公衆に利用可能となった日から3年間で、更新はできません。

②登録共同体意匠(Registered Community Design)

EUIPO(欧州連合知的財産庁)等に出願して登録されることにより権利が発生します。保護期間は出願から5年間で、更新により最長で25年間保護されます。

ここでは、このRCDについて説明します。

 

 

2.審査と審査期間

(1)一部審査主義

方式審査と、実体審査は2要件のみ(①法上の「意匠」該当性、②公序良俗違反)が審査対象ですので、実質的には、方式審査のみと考えられます。新規性や独自性等の実体的要件は審査の対象ではなく、無効審判によって判断されます。

(2)審査期間

方式審査のみですので、審査が非常に早いことが特徴で、電子出願の場合だとほぼ1週間以内で登録となります。さらに、優先権証明書等必要書類がそろっている場合は2日程で登録されます。製品発表まで意匠を非公開にしておきたい場合には、公告延期制度を利用する必要があります。

なお、方式審査のみということから、商標のように異議申立制度はありませんが、登録無効の請求は認められています。

 

 

3.無効理由

(1)新規性

出願日(優先日)以前に欧州連合内の当業者が知り得たか否か、実質的に同一かによって判断されます。

*グレースピリオド

日本の新規性喪失の例外に相当する規定で、出願日(優先日)前12か月以内に、創作者(承継人)等により公衆に利用可能となった場合においても、特に手続きをしなくても、新規性、独自性の判断に影響を与えません。

(2)独自性

出願日(優先日)以前に公衆に利用可能となった先行意匠と共同体意匠が、「情報に通じた使用者(Informed user)に対し、「異なる全体印象」を生じさせるときは、独自性を有すると判断されます。また、デザイナーの自由度を考慮して、デザイナーが自由にデザインできる部分(機能的に決定される形状以外の部分)が共通するか否かによって決定されます。

(3)技術的機能に基づくデザイン

専ら技術的機能のみを有する外観的な特徴は意匠権として認められず、同様の機能を有する代替意匠があることを立証しても認められません。

(4)相互連結(must fit)デザイン

プラグとソケットのように、他の製品に連結等して各製品が機能を発揮するために必然的な形状で製品化される意匠(must fit)は認められません。

(5)複合製品の内部構造の視認性

交換、分解、再組立てが可能な複数の構成部品により構成される「複合製品」であって、エンドユーザーによる「通常の使用時」に視認できない内部構造の意匠は認められません。(修理の際にのみ視認できても登録不可)例えば、ボンネット内の自動車部品などは保護されません。

(6)先行商標との抵触

先行商標を含む意匠は認められません。

 

 

4.多意匠一出願

ロカルノ分類(サブクラス)が同一の場合、意匠が類似していなくても、電子出願の場合は99意匠まで一出願に含めることができます。また、権利行使においては独立の権利として取り扱われます。

 

 

5.公告延期の請求

審査が非常に速いので、製品発表まで意匠を非公開にしておきたい場合には、公告延期制度を利用することができます。出願日(優先日)から30か月以内の期間であれば、出願と同時に公告の延期を請求できます。

 

 

6.願書の記載

(1)意匠に係る物品

物品の名称によって、意匠の権利範囲に影響を与えません。同じ形態の意匠であれば、物品が相違しても意匠権が及ぶので注意が必要です。

(2)意匠に関する説明(description)

意匠についての説明文を100文字以内で提出することができますが、公報にも登録簿にも掲載されません。

 

 

7.図面

提出する図面の枚数に制限があり、7図まで提出できます。使用状態に特徴がある場合、使用状態を示す図を提出することを検討すべきです。

写真またはCGを提出することもできます。

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