こんなものも登録できる!

こんなものも登録できる!

 意匠として登録できるものは、沢山あります。その中でも、「こんなものも意匠登録されるのか!」とあっと驚く登録意匠を集めてみました。

 

・食べ物(ケーキ、あめ玉、固形カレー、すし等)
・土木建築用品(鉄筋、護岸用ブロック、柱、組立家屋、
 浴室、バルコニー、ポスト等)
・基礎製品(糸、鎖、くぎ、ビニールテープ等)
・事務用品、印刷物(消しゴム、画びょう、黒板、書籍、
 ちらし、切符等)
・手作りのもの
・粉や粒の集合体
・画像

 

 

 

 

 

    意匠登録は、美しい芸術的なデザインが施された衣服や器物など、芸術品に対してなされるようなイメージがあり、食品や、身の回りの生活用品、土木建築用品などの実用品は意匠権を取得できないとお考えではないでしょうか。実は、そうではないのです。
     確かに、意匠権を得るには、視覚を通じた美感が必要となります。しかし、ここでいう「美感」とは、広く美に対する感覚をいうものであって、芸術的な美しさが求められるものではありません。
     絵画などの専ら美術鑑賞の対象とされることを目的とする「純粋美術」や、壺などの美的観賞の対象となりかつ実用目的も存する「美術工芸品」は著作物として著作権法で保護されますが、著作権で保護されないような実用目的に供される「応用美術」は意匠権で保護を受けることができます。

食べ物(ケーキ、あめ玉、固形カレー、すし等)

例えば、食品も、意匠登録を受けることができます。時間が経つと色や形が変わったりするのに意匠登録できるのか、と違和感を覚えられるかもしれませんが、意匠登録する上では問題ありません。

実際に、固形カレーや、ソーセージ、練り物、寿司、餅、パン、麺、菓子など多種多様な食品の意匠が出願・登録されています。少しだけ、実際の登録例を紹介したいと思います。

チョコレート ソフトクリーム用可食容器 すいか
意匠登録第1484401号 意匠登録第1479520号 意匠登録第1304011号
チョコレートの部分意匠です。
実線で表されている箇所が、意匠登録を受けようとする部分になります。つまり、チョコレートのハートの形状が同一又は類似であれば、上部に描かれている馬と人の絵を別の絵に変え販売したとしても、本件意匠権の効力が及びます。
ラング・ド・シャ生地をラップ状に巻いたソフトクリーム用の可食容器についての登録意匠です。
このように、可食容器のみでも出願できますし、上にのせるソフトクリーム部分と可食容器部分をまとめて、「ソフトクリーム」としても出願できます。
面白い形のすいかです。約1ヶ月、型枠の中で育てることで、このような形状になるのだそうです。このようなものも意匠登録可能です。
一つ一つ形が違ってくるかと思いますが、多少の違いは登録意匠の類似の範囲に含まれますので、問題ありません。

 

食品や、食品の包装の意匠について、詳しくは、当所ホームページ、「食品業界の皆様へ」のページをご覧ください。

 

 

土木建築用品
(鉄筋、護岸用ブロック、柱、組立家屋、浴室、バルコニー、ポスト等)

土木建築用品の機能美も美感を生じさせるものであり、保護され得る意匠なのです。

実際に、建築物を構成する部材、金具、仮設工事用品、土木工事用品のデザインについて、意匠登録を受けているものが存在します。具体的には、足場板材、くい、園芸用ブロック、鉄筋、マンホール、排水管、トンネル用セグメント、防波堤、ダムゲートなどの様々な意匠が登録されているのです。

さらに、組立家屋、天井、手すり、テント、カーテンレール、ベランダ、塀、貯水タンク、設置プールなどの登録意匠も存在します。

階段 一組の門柱、
門扉及びフェンスセット
組立家屋


意匠登録第1508048号 意匠登録第1559838号 意匠登録第1271033号
こちらは階段の意匠ですが、階段の手すり、階段手すり用の支柱材、折り畳み式補助階段など、その一部分に意匠登録を受けることも可能です。 門柱、門扉およびフェンスは、組物「一組の門柱、門扉及びフェンスセット」を構成する物品です。このように組物全体で統一があると認められる場合、組物として一意匠で出願し、意匠登録を受けることができます。 工場生産された複数の建物ユニットを建設現場で組み立てることで建築される組立家屋です。
これは全体意匠として権利化されていますが、玄関周りのデザインやベランダ部分のデザインのみ権利化したい場合は、部分意匠制度を活用することが可能です。

 

ここで注意していただきたいのが、「不動産は意匠登録できない」とされていることです。

そもそも意匠権の対象となる「意匠」とは、物品の形態である必要があります。つまり、模様や色彩など、物品から離れたデザインは、意匠とは認められません。そして、「物品」とは、有体物のうち市場で流通する動産をいうものとされています。そこで、土地およびその定着物である不動産は、物品とは認められません。但し、使用時には不動産に該当するものであっても、量産可能で土地定着前に動産として取引の対象となるようなものは、物品に含まれることになります。

さらにいうと、意匠を登録するには、「工業上利用することができる」必要があります。ここでいう「工業上利用することができる」とは、「工業的技術を利用して同一物を反復して多量に生産し得るものであること」を意味します。不動産は、工業的に同一物を反復して多量に生産できるものには該当しないとも言え、何れにせよ意匠登録を受けることはできません。

しかし、おかしなことに、上で登録意匠として紹介している組立家屋は、どう見ても不動産ですよね。特許庁のデータベース・J-PlatPatで検索すると、建売住宅、マンションなど多くの不動産が意匠登録されていることにお気付きになられるでしょう。何故これらの不動産は、登録になっているのでしょうか。

殆どの不動産は、建設現場にて組立てる前には、工場で作られた複数の建物ユニットや様々な部材に分けられます。使用時には不動産に該当したとしても、土地定着前に動産として取引の対象となるといえます。そこで、動産として取り扱われています。

それとは別に、たとえ土地定着前に動産として取引の対象となったとしても、「工業的技術を利用して同一物を反復して多量に生産し得るもの」に該当しないもの(例えば、デザイナーが設計した一品制作の建築物)は、不動産として取り扱われ、意匠登録を受けることができません。

 

 

基礎製品(糸、鎖、くぎ、ビニールテープ等)

各種用途に使用する基礎的な物品のデザインについて、意匠登録を受けることができます。細かな実用品であっても機能美が存すれば意匠権を取得し得るのです。

例えば、織物地、板、紐、配線・配管用管、管継ぎ手、バルブ、ねじ、くぎ、錠などの登録意匠が存在します。

 

タッピンねじ シャワーヘッド ホース
意匠登録第1425738号 意匠登録第1549591号 意匠登録第1303546号

 

注意していただきたいのが、物品の機能を確保するために不可欠な形状のみからなる意匠は、登録を受けることができないということです。

どういうことかと申しますと、例えば衛星放送受信アンテナ用反射鏡など、パラボナアンテナの反射鏡としての機能を確保しようと思えば、必然的にその形状にならざるを得ないものや、物品の互換性の確保等(技術的機能の確保を含む。)のために、物品の形状及び寸法等の各要素が規格化又は標準化されているものであって、規格化又は標準化された形状及び寸法等により正確に再製せざるを得ない形状からなるものは、意匠登録を受けることができないということです。 これらの形状は、特許法や実用新案法で保護されるべきものです。是非、特許出願や実用新案出願をご検討ください。

 

 

事務用品、印刷物(消しゴム、画びょう、黒板、書籍、ちらし、切符等)

事務用品や印刷物についても、意匠登録を受けることが可能です。こんな身近なものに登録意匠が紛れているだなんて驚きですね。

例えば、地球儀などの教習具、パレットなどの書画用品、筆記具や事務用具、名刺、のし紙、はがきやくじ引き券などの事務用紙製品及び印刷物、包装紙、包装用容器、アドバルーンや電光掲示板などの広告用具及び表示具、マネキン、商品陳列ケースなど、非常に多くの登録意匠が存在します。そんな事務用品・印刷物の登録意匠の中から、一部ご紹介したいと思います。

 

シール自動販売機用
写真シールシート
ティッシュペーパー 一組の筆記具セット
意匠登録第1503743号 意匠登録第1320404号 意匠登録第1273721号
プリクラの部分意匠です。実線で表されている部分が、意匠登録を受けようとする部分になります。
実線で表された枠部分を真似した写真シールシートを業として実施している人がいれば、差止め請求や損害賠償請求が可能になります。
よく見ると、下図のような模様が描かれています。

   

こうした工夫で、ティッシュペーパーなど、極々身近な商品についても意匠権を取得することが可能です。

同時に使用される2以上の物品であって経済産業省令で定められているものを、組物といいます。
万年筆とボールペンは、組物「一組の筆記具セット」を構成する物品です。このように万年筆とボールペンのクリップ部分が同じような造形で表されていることにより、組物全体で統一があると認められる場合、この万年筆とボールペンは、組物として一意匠で出願し、意匠登録を受けることができます。

 

事務用品の意匠に関して、詳しくは、当所ホームページ「事務品業界の皆様へ」のページをご覧ください。

 

 

手作りのもの

手作り商品であっても意匠登録を受けることができます。

 

意匠を登録するには、「工業上利用することができる」必要があります。ここでいう「工業上利用することができる」とは、「工業的技術を利用して同一物を反復して多量に生産し得るものであること」を意味します。「工業上」には、機械業も手工業も含まれますので、手作りのパンやお菓子であっても量産可能であれば、意匠登録される可能性があるのです。

つまり、一品制作物(一品だけを造ることを目的として造られたもの)は意匠権を取得することができませんが、手作りであっても同一物を反復して多量に生産できる場合には、意匠登録を受けることができる可能性がある、ということです。

 

実際にはこのようなものが存在します。

 

すし たこ焼き 人形
意匠登録第1470460号 意匠登録第1471522号 意匠登録第1393585号
四国を模った押し寿司です。
卵焼き、海老、鰆、グリーンピース、穴子、さくらでんぶで4県を表しているそうです。因みに、少し見えている寿司飯の中身は、牛蒡、高野豆腐、椎茸、人参、油揚げのようです。
たこ型のたこ焼き器によって作られるたこ焼きです。
通常のたこ焼きは球状であるのに対し、本登録意匠のたこ焼きは、「目鼻がくっきりした顔としっかり伸びた足を備え、頭には鉢巻きを巻いている」ところに特徴があります(意匠公報「意匠の説明」の欄より抜粋)。
雛人形の登録意匠です。つるし飾りの構成として組み入れることもできますし、単体で飾ることも可能なようです。
貝殻など、人間の手が加えられていない自然物そのものは、「工業上利用することができる」ものに該当せず、登録を受けることができませんが、このように人の手が加わり、工業的に量産できるようになると、登録を受けることが可能になります。

 

手作り故に一つ一つ形が違ってくるかと思いますが、多少の違いは登録意匠の類似の範囲に含まれますので、他者が登録意匠同様の手作り品を販売したとして、手作り故に形が少々違っていたとしても、それらに対しても意匠権の効力が及ぶことから、差止め請求や損害賠償請求が可能になります。

 

 

粉や粒の集合体

角砂糖などの、粉状物や粒状物を固めたものも登録することができます。後述するように粉・粒の一つ一つや、粉・粒の単なる集合体は、基本的に意匠権を得ることはできません。しかし、粉・粒の集合体であって、固定した形態を有するものについては、意匠権を取得することが可能です。

 

そもそも意匠権の対象となる「意匠」とは、物品の形態である必要があります。この物品の形態は、特定されている必要があります。例えば、粉状物、粒状物は、構成する個々のものは固体であって一定の形態を有していても、その集合体としては特定の形態を有さないものであることから、物品とは認められません。ただし、構成する個々の物が粉状物又は粒状物であっても、その集合したものが固定した形態を有するもの、例えば、角砂糖は、物品と認められることになります。

さらに、「意匠」というには、物品が取引される通常の状態で、視覚によって認識される必要があるところ、粉状物又は粒状物のようにその一つ一つが微細であり、肉眼によってその形態を認識できないものは意匠登録を受けることができません。ただし、構成する個々の物が粉状物又は粒状物であっても、その集合したものが固定した形態を有することにより、取引時に視認される場合や、取引の際に拡大して観察することが通常である場合は物品と認められることになります。

その形態が固定されている粉状物や粒状物の集合体であって、実際に意匠登録を受けているものには、次のようなものがあります。

固形砂糖
意匠登録第1241844号
固形砂糖菓子の登録意匠です。
実線で表されている箇所が、意匠を受けようとする部分になります。つまり、砂糖菓子に描かれた図が同一又は類似であれば、砂糖菓子の形を丸や三角に変えて販売したとしても、本件意匠権の効力が及びます。

 

肉眼では認識できないような砂糖粒のような粒子であっても、取引の際に拡大して観察することが通常である場合は登録が認められています。

砂糖粒
意匠登録第1555258号
砂糖粒の登録意匠です。
【物品の説明】の欄には、「通常の取引においては、本物品の拡大写真や拡大図を添付して取引が行われる。」旨の記載があります。欠片の間に隙間があるようですが、どこまでが意匠権の権利範囲になるのか判断が難しそうです。

 

 

画像

カメラの操作画面や、録画機の操作画面、スマートフォンにインストールしたアプリの画面デザインについて意匠権を取得できるのをご存知ですか。

 

意匠法上保護される画像とは、物品の表示部に表示される画像が、その物品に記録された画像(当該物品が有する機能に係るアップデートの画像を含む。)であり、その物品の機能を果たすために必要な表示を行う画像、又は、物品の機能を発揮できる状態にするための操作の用に供される画像
です。

例えば、以下のようなものが該当します。

  • 物品にあらかじめ記録された画像(機器の組み込み画像)
  • スマートフォンにインストールした歩数計アプリケーションの歩数計機能を発揮させるためのソフトウェアの表示画像
  • コンピュータにインストールしたはがき作成ソフトウェアの宛名作成機能を発揮させるための表示画像

実際には次のような登録意匠が存在します。

 

携帯電話機 船舶用操縦機
意匠登録第1513436号 意匠登録第1490603号
物品にあらかじめ記録された画像(機器の組み込み画像)の例です。
本物品は、タッチパネル式の画面表示部を備えた携帯電話機です。
ここでは、電子マネー等の残高及び獲得ポイント数の確認機能を発揮するための操作に用いられる画像について、意匠権を取得しています。
当該物品の機能を発揮できる状態にするための操作の用に供される画像であって、当該物品と一体として用いられる表示機器に表示される画像も、保護対象となります。例えば録画機など、録画予約画面が録画機自身ではなくテレビモニターに映るものであっても、その録画予約画面は意匠法上保護される可能性があります。
本物品は船舶用操縦機であり、その機能(船舶のスクリューの推進力のコントロールや舵をとる)を発揮できる状態にするための操作の用に供される画像は、本物品である船舶用操縦機自身に表示されるのではなく、本物品と一体として用いられる表示機のタッチスクリーンに表示されています。

 

しかしながら、物品の外部からの信号によって表示される画像(例えば、ウェブサイトの画像)、物品から独立したコンテンツの画像デザイン(例えば、ウェブ上で動作するアプリケーションの画像)は引き続き意匠法では保護されません。また、物品と離れた画面デザインや、機能と関連性の無い単なる画面デザインは保護されません。

画像の意匠やソフトウェア関連の意匠に関して、詳しくは当所ホームページ「IT業界の皆様へ」のページをご覧ください。

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