ブラジル連邦共和国
はじめに
ブラジル連邦共和国にて意匠権の権利保護を行う際に関連する情報、概要等を、以下に掲載しております。
本サイトが、お客様が海外の国で知財財産の保護を行う上での一助となれば幸いです。ぜひお役立てください。
1.保護対象と存続期間
(1)「意匠」の定義
ブラジル産業財産法では、「物品の装飾的造形又は製品に利用することができる線及び色彩の装飾的配置であって、その外形に新規かつ独創的な視覚的効果をもたらし、工業生産のためのひな形にすることができるものは意匠とみなされる」と規定しています。
(2)存続期間
意匠権の存続期間は出願日から10年ですが、5年ごとに3回延長することができ、出願日から最長25年間保護されます。
(参考:特許の場合、特許権の存続期間は出願日から20年で、第3年次から一年ごとに納付が必要。商標の場合、商標権の存続期間は出願日から10年で、10年ごとに更新が可能。)
2.無審査主義
出願中は、方式審査のみで実体審査はありません。
方式審査の結果、方式的要件が満たされている場合、新規性や独創性の実体審査は行われずに登録になります。
3.審査請求
意匠登録後、意匠権者は存続期間中に登録意匠の新規性や独創性に関する実体審査を請求することができます。実体審査の結果、新規性や独創性について否定的な見解が出された場合、職権による無効審判が行われます。
権利行使を行う前に、審査請求を行い、肯定的な見解を得ることが望ましいです。
4.新規性と独創性
・新規性
新規性を喪失した意匠は、登録を受けることができません。
意匠が、技術水準(公知意匠)の一部でないときは、新規であるとみなされます(産業財産法第96条)。技術水準については同条(1)ないし(3)について下記の記載があります。
上記(3)は、新規性喪失の例外に関する規定です。ブラジルでは、産業財産法12条(1)ないし(3)に規定する開示について、意匠は、出願日又は優先日前180日以内の開示によっては新規性を喪失したとはみなされません。
[参考] 産業財産法12条
発明又は実用新案の開示は、その特許出願の出願日又は優先日前12月間に、次の者によってなされた場合は、技術水準の一部であるとみなされない。
・独創性
独創的と認められない意匠は、登録を受けることができません。
意匠が、先行する他の物品とは異なる視覚的形状をもたらす場合は、その意匠は独創的であるとみなされます(産業財産法第97条)。
但し、公知の要素の結合であっても、独創的な視覚的成果と認められることがあります。
5.複数意匠登録出願
同一用途に係るものであり、かつ同一の顕著な識別性を有している場合、1出願で20意匠まで意匠登録出願することが可能です。
6.部分意匠
ブラジルには部分意匠制度がありません。
7.出願時必要書類
出願書類はポルトガル語で作成、記載する必要があります。主な必要書類の一覧は下記の通りです。
・図面又は写真
・明細書
・クレーム
・委任状
・譲渡証
・優先権証明書 ※立体の意匠の場合、斜視図を含む必要があります。
※優先権証明書は、第一国出願の優先権を主張してブラジル出願を行う場合に必要です。
例:日本で第一国出願を行った場合、日本出願日から6カ月以内に日本出願を優先権主張の基礎としてブラジル出願を行うことが可能で、特許庁で発行された優先権証明書の提出が必要です。
8.条約への加入
パリ条約 | WTO協定 | ハーグ協定 | ロカルノ協定 |
加盟 | 加盟 | 加盟 | 未加盟 |