IT業界の皆様へ

はじめに

IT業界の皆様へ

20世紀後半から21世紀初頭にかけて起こったIT革命以後、IT技術の発展はなお著しく、メール、通販サービス、SNSや情報家電、そしてCloudなど、多くの人がIT技術の恩恵を受けた製品・サービスを利用しており、また、私達の生活や経済を支えるためのインフラとしての役割も担っています。また、IT技術の集大成とも言い得る「スマートフォン」の普及率は20代で90%超、30代も80%超(2014年)となっており、IT技術の利用が年々増加しつつあります。

IT業界、所謂情報サービス産業全体の売上高は、90年代から急速に成長を始め、2013年時点で売上高21兆円、従業員数103万人にまで成長しており、自動車やエレクトロニクスなど日本の他の基幹産業に迫る規模を誇っています。さらに近年は、IoT(モノのインターネット)、ビッグデータ、人工知能(AI)などの技術を利用した多様な情報サービスが続々と産み出されています。

情報サービス産業の内訳は、これまでも、ソフトウェア業、情報処理・提供サービス業、インターネット附随サービス業など多岐にわたっていました。そして今後、IoT、ビッグデータ、AI等の技術が、これまで情報通信技術をあまり利用してこなかった、いわゆる「非情報通信産業」においても利用されることによって、さらに多様なものになり、需要/供給の拡大が見込まれています。

新しい情報を取り扱う場合、この新しい情報を如何にして効果的に伝えるか、ということが重要となります。本項では、主にソフトウェア業の皆様に関連するトピックスをご紹介したく存じます。当記事が、意匠出願を考えていらっしゃる方々のお力となれれば幸いです。

 

画面デザインに関する意匠審査基準が改訂されました(平成28年4月1日より適用)

ソフトウェアの表示画面のデザインは、そのソフトウェアの操作性や造形美を左右する重要なものです。いくら機能や価格が優れていても、画面デザインが悪ければ、ユーザーに見向きもされません。特に、近年盛り上がりを見せるスマートフォン向けアプリケーションソフトウェア市場においてはこの傾向が顕著であるといえます。

今まで、事後的にインストール等したソフトウェアの画面デザインは意匠権で保護されていませんでしたが、ついに日本でも保護対象になったことをご存知でしょうか? 近年の情報通信技術の急速な進展に伴い、App store®やGoogle play®でスマートフォンの対応アプリをインストールすることが当たり前になってきています。このような変化や急速な普及といった時代の変化に合わせる形で、平成28年4月1日以降の意匠登録出願より新たな意匠審査基準が適用されています。この改正により、画面デザインの意匠の対象が拡大することになりました。

 

物品に「事後的に記録」された機能の画像も保護されるようになりました

これまで(平成28年3月)の意匠制度

「物品にあらかじめ記録された画像」(機器の組み込み画像)のみを意匠登録の対象として取り扱い、「物品に事後的に記録された画像」や「パソコンやスマートフォン等の電子計算機にソフトウェアをインストールすることで表示される画像」等は、意匠登録の対象から除外されていました。

これから(平成28年4月1日以降)の意匠制度

  • 物品で用いられる画像について、物品に「あらかじめ記録」された画像であることを求める現行の基準を緩和し、時期を問わず、物品に「記録」されたことをもって物品と一体化した「意匠」を構成する画像と認め、意匠登録の対象とする(当該物品が有する機能に係るアップデートの画像を含む)。
  • 具体的な機能を実現するソフトウェアのインストールによって電子計算機に記録された画像を、付加機能を有する電子計算機 (意匠に係る物品「○○機能付き電子計算機」)の「意匠」を構成する画像と認め、意匠登録の対象とする。
保護されるものの例

◆上記の意匠審査基準の改訂により、「スマートフォンにインストールしたソフトウェアの表示画像」や「コンピュータにインストールしたソフトウェアの表示画像」の保護が可能になりました。

⇒ したがって、スマートフォン/コンピュータ向けソフトウェアを開発・販売する企業様にとって有意義な改訂になると思われます。

◆意匠出願の願書において「物品:○○機能付き電子計算機」として記載することで、画面デザインに関する意匠出願が行うことができます。

保護されるための要件

※しかしながら、物品の外部からの信号によって表示される画像、物品から独立したコンテンツの画像デザインは引き続き意匠権で保護されません。

<例>

  • ウェブサイトの画像
  • テレビ番組の画像
  • ゲームの画像
  • WEB上で動作するアプリケーションの画像(インターネットを介して使用するソフトウェアの画像(クラウドコンピューティングを含む))
  • インストールされたアプリであるものの、サーバ上の信号により一時的に表示される画像
引き続き登録の対象とならない画像

 

保護対象の拡大による侵害の危険性

上述した画面デザインに新たに意匠権が認められるということは、現在皆様が使用している、若しくは今後使用する画面デザインが、他人の意匠権を侵害してしまう可能性があります。その際、事前の先行意匠調査を行うことで、安全に権利を取得できる可能性が高まります。事前調査についても当所へお任せください。

 

海外での意匠登録出願もサポート

今日のIT業界のビジネス領域に国境はなく、基本的には「無体物」である電子データであるため、インターネットを通じて簡単にデザインを模倣した製品が出回ってしまいます。特に、ソフトウェアの画像デザインのようなものだと、国内外問わず無労力でマネされて被害を受けやすいものです。そのため、国内での意匠権取得と同時に海外諸国でも意匠出願を行うことを強くお勧め致します。海外での展開を考える際にも、ぜひ、お気軽に当所にご相談ください。

欧州・米国のように、画面デザインの保護を日本よりも先駆けて行っていた知財先進国をはじめ、近年では急速に経済発展している東アジア、東南アジア諸国、その他各国において意匠の取扱は様々でございます。意匠登録を行う方法にも、各国において必要なノウハウが存在しますので、この点はお気軽にご相談頂ければ幸いです。また、2015年より我が国もハーグ協定に加入したことから、国際意匠登録制度の利用が可能となったため、手続面・費用面共に負担を軽くすることができます。

 

当事務所はIT業界の皆様を応援します

IT業界では、膨大な競合製品の中から消費者の目に留まるよう、画面デザインに注力することが多いものですが、ひとたびヒットすると、それを模倣したデザインが瞬く間に流通してしまう業界でもあります。

そのため、皆様におかれましては、知的財産権の問題を意識せざるを得ない状況に直面することもあろうかと思います。当事務所では、ソフトウェア業に限らず、IT業界全体の皆様の知的財産保護に全力を尽くす体制を整えております。どうぞお気軽にご相談ください。

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