ハーグ協定による国際意匠出願について

1.ハーグ協定とは

ハーグ(ヘーグ)協定とは、各国別に発生する出願手続きを一元化し、国際事務局への一つの出願手続で、指定した国それぞれに出願した場合と同等の効果を得ることができる意匠の国際出願・登録システムです。

2016年7月時点では、日本、EU、韓国、米国を含む62の国(政府間機関含む)が参加しています。中国、カナダ、ロシア、ASEAN(シンガポール、ブルネイは加入済み)は、加入検討中です。日本については、2015年5月13日に加盟の効力が発効いたしました。

2012年の国際出願数は12,454件、2013年は13,172件、2014年は14,441件、2015年は16,435件と、年々増加しています。日本からは、2015年に411件出願されました。

 

グラフ

 

(特許庁:『我が国のヘーグ協定ジュネーブアクトへの加盟の方向性について(案)』(2012年)より)

*「ロカルノ協定」とは、国際意匠分類の制定、修正及び追加の手続き等を定めた協定であり、日本でも2014年9月24日に発効しました。2014年9月時点でロカルノ協定加盟国数は、日本を含めて54か国となっています。

 

 

2.ハーグ協定による国際出願の手続きの流れ

ハーグ図1

 

ハーグ図2

 

(WIPO: “2013 Hague Yearly Review” より)

 

国際出願

保護を受けたい意匠、保護を求める国等を記載した1通の出願書類をWIPO国際事務局へ提出(JPOへの提出も可能、手数料3,500円加算)。

商標のマドプロ出願と異なり、日本における本国出願・登録は不要であり、日本を国際出願の指定国とすることが可能(自己指定)。

 

国際登録

国際事務局による一元的な方式審査において、出願書類に不備がなければ国際登録簿に記録。これにより各指定国への正規の出願と同一の効果が発生。国際出願の出願日が国際登録の日となる。

 

国際公表

国際登録から6月後に国際登録の内容がWIPOウェブサイトで公表
国際登録後の即時公表または公表の延期も可能

〔延期期間の例〕
・最長30月:EU、フランス、スイス、ドイツ、スペイン、韓国、トルコ、日本
・最長12月:OAPI(アフリカ知的財産機関)
・最長 6月:デンマーク、ノルウェー
・延期不可 :米国、ポーランド、シンガポール、
(指定国中の最短の期間で公表される点に注意)

 

指定国での審査

拒絶の通報が可能な期間は、国際公表から6月または12月

〔拒絶通報期間の例〕
・6月:EU、フランス、スイス、ドイツ、デンマーク、ノルウェー、ポーランド、OAPI(アフリカ知的財産機関)
・12月:スペイン、韓国、トルコ、日本、米国

 

権利発生

国際登録は、国際登録の日から5年間有効。その後、更新手続きにより5年ごとの延長が可能

〔権利存続期間の例(最短15年)〕
・最長25年:EU、フランス、スイス、ドイツ、スペイン、ノルウェー、ポーランド、トルコ
・最長20年:韓国、日本
・最長15年:米国、シンガポール、OAPI(アフリカ知的財産機関)

*ただし、日本における意匠保護の存続期間については、国際登録の日からではなく、日本における意匠権の設定登録の日から最長20年となります。

 

 

3.メリット・デメリット

メリット

  • 1出願で複数の指定国に出願でき、複数意匠(国際意匠分類の同一の類に属する限り最大100意匠)の出願もできるため、手続きが簡易です。日本では、複数意匠を含んだ国際出願は意匠ごとの複数の出願とみなされ、意匠ごとに日本の出願番号が付与されます。
  • 英語、フランス語、スペイン語から出願人が選択した単一の言語で出願できるため翻訳の負担を軽減できます。
  • マドプロと同様、現地代理人を通す必要がないため、コストを抑えることができます。
  • 無審査国であれば国際公開から6カ月、実体審査国であれば遅くとも12か月で審査結果が出ます。
  • 住所変更などもWIPOに対してのみ行えばよいので、管理を一元化できます。

 

デメリット

  • 日本語で出願することができません。
  • 原則、国際登録の日から6月後(国により延長可、日本は最長30月)に国際公報で公表されるため、登録の可否にかかわらず、意匠出願の内容、拒絶理由、拒絶理由の引例が公開されてしまいます(原則、日本出願では登録になった意匠しか公開されない)。日本出願と異なり、秘密意匠制度(登録から最長3年間意匠を非公開)もありません。
  • 拒絶理由が開示されてしまいます。

 

 

4.最後に

以上のように、ハーグ協定による国際意匠出願には、コストや管理等を軽減できるというメリットがある一方で、指定国での審査前に国際公表されてしまい、出願意匠が公知になってしまうというデメリットがあります。よって、これらのメリットとデメリットを把握した上で、最適な方法で出願する必要があります。

当所では、経験豊富な弁理士と様々な国の現地代理人との連携により、お客様の意匠を保護するのに最適な方法で、国際意匠出願をサポート致します。海外出願、または海外出願を含む日本への意匠出願、または拒絶理由への応答についてお困りの際は、ぜひ当所へお問い合わせください。

 

 

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